独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
式典を終え、立食パーティーに移る中、私は海斗さんに連れられて控え室に入る。
「あの、和菓子を……」
着物に着替え、私の本来の役割を果たさなければ。そう思うのに声は震え、体にも力が入らない。
「責任感があるのは立派だ。でも、少し妬けるな」
そっと指先にキスを落とし、「最初はリチャードが進行するから、まだ平気だ」と、囁く。
「おまじないしよう」
そう言って、唇が重なる。深くなる口づけに弱々しく胸をたたいて訴えると、ゆっくりと離される。
「いつも通りの由莉奈で大丈夫。着付けのスタッフを呼んでこよう。俺は、そのまま先に会場に行っているから」
そう言い置いて、海斗さんは控え室を出て行った。