独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
そして……。
「今回、皆様にお召し上がりいただく和菓子は、老舗和菓子店廣吉と、廣吉から暖簾分けした川瀬の職人さんが丁寧に作ってくださいました」
どうにか参加する全ての方に、和菓子を楽しんでもらえないかと悩む私を見て、翼さんが師匠のいる廣吉にお願いしてくれたのだ。
廣吉を引き継ぐ川瀬の和菓子。もちろんリチャードさんも、試食して納得してくれた。
「本日は川瀬から、和菓子に詳しい販売員の方もいらしています。お気軽にお声掛けください」
浅見さんも駆けつけてくれている。とても心強い。
お茶会には、『リチャードさんが是非とも自分が参加したい』と名乗り出たため、お願いした。
作法の面では、茶道の先生がお茶を点てるため、私の出る幕はない。私が参加するよりも、外国の方が着物を着て参加している姿があった方が、目を引く上に、参加しやすい雰囲気が出る。
私は、立食パーティー用に並べられている和菓子のテーブル脇に立つ。