独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
次は外国の方が興味深げに眺めている近くに行き、声をかける。
〈気になるものが、見つかりましたか?〉
英語で話しかけると、ホッとした顔をするから、やっぱり日本語よりも英語の方が馴染み深いのだろうなと思う。
〈これは綺麗なピンク色の和菓子だね。これに合うお酒はある?〉
〈桜餅ですね。ワインなどいかがですか? ほんのり甘いロゼワインは、塩味のアクセントのある桜餅によく合います〉
時間が経つにつれ、デザートを選ぶ人が増えてくる。今日、英語で案内できるのは私ひとりのため、外国の方を中心にお勧めする。
外国の人の方が、『和菓子にはお抹茶』という固定概念がないせいなのか、コーヒーやお酒を好んで選んでいく。
中にはリチャードさんのように和菓子好きな人もいて、ついつい和菓子談義に花を咲かせる。