独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「由莉奈!」

 海斗さんの声が聞こえ、怯んだ一瞬をついて振り払い、海斗さんの元へと駆ける。

「大丈夫か」

「ええ。まだなにも」

 そう言いつつも、震える体を海斗さんが抱きしめる。

 それから、山崎さんに向かって怒号を浴びせる。

「お前っ!」

「待って! 海斗さん!」

 今にも殴りかかりそうな海斗さんを、必死に止める。

「言いがかりだ」

 体を屈めながら、山崎さんはゆっくりと私たちに近づいて来る。

 怒りのあまり戦慄(わなな)いている海斗さんに、必死に訴える。

「お願い。海斗さん」

 私の訴えを聞き、海斗さんは冷ややかに告げる。 

「お前の悪行は、すぐに明るみになる」
< 170 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop