独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「由莉奈!」
海斗さんの声が聞こえ、怯んだ一瞬をついて振り払い、海斗さんの元へと駆ける。
「大丈夫か」
「ええ。まだなにも」
そう言いつつも、震える体を海斗さんが抱きしめる。
それから、山崎さんに向かって怒号を浴びせる。
「お前っ!」
「待って! 海斗さん!」
今にも殴りかかりそうな海斗さんを、必死に止める。
「言いがかりだ」
体を屈めながら、山崎さんはゆっくりと私たちに近づいて来る。
怒りのあまり戦慄いている海斗さんに、必死に訴える。
「お願い。海斗さん」
私の訴えを聞き、海斗さんは冷ややかに告げる。
「お前の悪行は、すぐに明るみになる」