独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「まさか、絶対に嫁にはやらんと言い張った村岡社長のお嬢さんを射止めるとは。その上、催し物は大盛況」

「は」

　早坂専務は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、固まっている。

　染谷社長は眉を上げ、父と目を合わせるとおおらかな声で告げる。

「高嶺の花と名高いご令嬢を掴まえるとは、さすが私の息子」

　しばらく状況が掴めずに、呆然としていると、海斗さんのぼやき声を聞く。

「自画自賛は恥ずかしいので、よしてください」

　海斗さんは呆れ顔で言い、私の父も呆れている。

「だから嫌なんだ。自信家一家の染谷社長と親戚になるのは」

　心の底から嫌そうな顔をする父を前にしても、染谷社長はめげていない。

「いい加減、諦めたらどうかな。可愛らしい娘が出来て、これからが楽しみで仕方ない」