独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「海斗さんのことですか?」

「へえ。まあ、間違ってはいないか」

 色気ある流し目が、ますます妖しい眼差しに変わっていく姿を目の当たりにして、慌てて訂正する。

「いえ。違います。海斗さんは紳士で、誠実で」

 近づいてくる顔が曇る。

「買い被っている。父に会わせると、由莉奈が自分の世間の評判を知ることになる。だから、ギリギリまで会わせたくなかった」

 思わぬ種明かしをされ、すぐ近くにある唇にそっと、自分の唇を重ねる。

 目を丸くする海斗さんに、気持ちを伝える。

「誰にどう思われていようと、私が想いを寄せている方は海斗さんただひとりです」

「ああ。そうか。うん」

 頬をかき少し照れているような海斗さんの姿が意外だけど、すぐにいつもの顔に戻り囁かれる。

「俺も愛している」
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