独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
何度、愛されたか分からない。ただ、今までマンションで愛された愛し方とは違うなにかを感じて、目を覚ました今、頬をむくれさせている。
その異変は、石垣島で感じたものと同じ。
「次は、ちゃんと伝えてくれるのだと思っていました」
やり場のない思いは、声を尖らせる。
「もうずっと理性と情欲が拮抗していて、限界だった」
「そういう言い訳じゃなくてですね!」
私だって、石垣島であんなに反省したのに、避妊を全て海斗さん任せにしていたのだから、怒れる立場ではないのだけれど。
「どんなときも俺と由莉奈との間には、なにものにも阻まれたくないと思っていた」
言い方次第で、すごく熱烈な愛情表現に聞こえるのに、素直に受け取れない。
「そんな! だって、そんな無計画な」
ふわふわした甘いひとときになると思っていたのに、現実が目の前に押し寄せる。
「天からの授かりものだろう?」
海斗さんの言動は、かなり甘ったるい。
「授かりもの、ですけど」
だんだんどうして怒っているのか、わからなくなってくるのが、海斗さんのずるいところだ。