独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
ドキドキしそうな胸を落ち着けるためにそう思っていると、インストラクターの人がその考えを覆すような発言をする。
「へえ。海斗でも、女の子に『可愛い』なんて言うんだな」
日焼けした肌がまぶしく、白い歯を見せて笑う。こちらもイケメンだ。
なんていうか。神様、ありがとうございます。目の保養、ありがたや。
「うるさいな。由莉奈ちゃんは可愛いだろ」
拗ねたように言う姿が新鮮。インストラクターの人と仲がいいみたいだ。
「俺、金城聡。聡って呼んで。海斗に悪さされたら、俺に泣きついていいからね」
「聡、お前なあ」
海斗さんは、呆れ半分の顔で私たちの会話を聞いている。
「聡さんは、海斗さんと長いお付き合いなんですか?」
「うん。良かったら、海斗のあれやこれやを話してあげられるよ」
「おい! 聡!」
話されて困ることがあるのかな。今まで石垣島に、彼女を連れてきたことがあるとか?
そこまで考えて、胸の奥がチクリと痛くなった。
そうだよね。こんなに素敵な人だもの。恋人がいないわけがない。
私とはこの場限りの関係。だからこそ、楽しまなくっちゃ!
寂しい思いを振り切るように、頭を切り替える。