独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「由莉奈ちゃんは、向こうでシュノーケリングやダイビングはするの?」

 低めの落ち着いた声で『由莉奈ちゃん』と呼ばれるだけで、胸が震える。憧れの的、恐るべしだ。

「2月ですし、どうでしょう。散策かなあと思ってます」

「そう。散策も楽しいよ。見るところはいっぱいあるし、海も見てるだけで飽きない。青くて深いところはエメラルドグリーンで」

「本当に海がお好きなんですね」

「ああ。好きだよ」

 ただ『海が』好きと言っただけなのに、胸がキュンと鳴いて困る。知っててやっているんじゃないかしら。目を見つめたまま『好き』と言える海斗さんに、完敗する思いだった。
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