独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 乱暴に言い放たれ、そのまま唇が触れる。非力な抵抗は意味をなさず、全てを絡めとられていく。

 急激に深くなる口付けはあの日のキスとはまるで違い、ただただ劣情を無理矢理引き出すようなもの。石垣島では私に合わせていたのだと、こんな状況で知ってもどうにもならない。

 体はカタカタと震え出し、目には涙が滲む。

 蹂躙された唇を舐められ、ゾクリと背中をなにかが這い上がる。震える手は、目の前の服にしがみついていた。

 僅かに離れている唇の隙間から、声がして頭をすり寄せられる。

「ごめん。八つ当たりだな。思いの外、妊娠していなかった事実が堪えている」

 予想していなかった内容に目を丸くして、海斗さんを見つめる。その視界は霞んで揺れる。

「由莉奈は? 妊娠していないと知って、どう思ったのか教えてくれないか」

 弱々しく問いかけられ、つい本音をこぼす。

「私は……生理が来たときは安心もしましたけれど、寂しさが込み上げて」

 消えかけた声を漏らすと、頬に優しく手が触れる。私はこの手の温もりを知っている。この温もりが恋しかったのに……。

「泣いた?」

 その時の涙も一緒に拭うみたいに、指先が頬に触れる。

「少し、だけ」

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