独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「由莉奈ちゃんは、もっと胸を張っていい」

 たくましい手で背中を豪快にたたかれ、思わず咳き込む。

「ハハッ。もっと食べなきゃ。細くて心配になる」

 咳き込みながら、曖昧に笑う。

 自分の好きな道に進めば、海斗さんに認められるとばかり思っていた。そんな自分が、どれだけ浅はかだったか。

 リチャードさんには、お茶会に出す和菓子に『川瀬』を選んでもらい光栄だとメールに打ち込む。
 ただ、規模が規模だけに、パーティーに人数分を用意するのは難しい。またの機会に数十名の茶会があれば、御用命くださいと正直に書いた。

 実現はしなかったけれど、和菓子の良さが認められ、外国の人からも求められたこの喜びを海斗さんと分かち合えたら……。

 どうして彼は変わってしまったんだろう。

 ううん。最初から海斗さんについて、なにもわかっていなかったんだわ。
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