独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「受け入れられない仕事?」
「和菓子職人は、『よりによって、そのような仕事を』と言うほどに、嫌なのでしょう?」
どうして和菓子が嫌なんだろう。あんなにも眉根を寄せ『よりによって』と言うほどに。
「それは誤解だ。俺は由莉奈が妊娠していると思っていたから、和菓子職人だなんて力仕事、体に障ると思ってだな」
思わぬ結末を聞き、力が抜ける。
「違います。職人さんだなんて恐れ多い。自分の力量は弁えています。販売の方を勉強させてもらっているだけで」
これには海斗さんも意表を突かれたようで、力なく笑う。
「ハハ。そうか。それはそうか。由莉奈は華奢過ぎる。妊娠していなくても、力仕事は出来ればしてほしくない」
「それじゃ、勘違い……」
「ああ、俺たちはすれ違っていたみたいだな」
近づいてくる海斗さんに体を固くさせると頭はコチンと重ねられ、すり寄せられる。