ねえ、私を見て
もう日奈人君と、外で会わない。

そう決意した私だったけれど、仕事中に隣の席にいる日奈人君を見ると、その気持ちも揺らいでくる。

「澤田さん、ここ教えて下さい。」

仕事に真摯に向き合っている彼を見ると、なまじまだ大学生なだけに、応援したくなるのだ。

あれから、日奈人君の強行突破はないけれど、またそんな事をされたら?

私は、セフレ扱いだったの?

そんな疑問が頭を過る。

「澤田さん?」

「えっ?」

見ると日奈人君と園子が不思議そうに、私を見ている。

「あっ、ごめんね。どこだっけ?」

「ここです。この表のBというのが打てなくて。」

「ここはね、Aに数字を入れると入るわよ。入れる数字は、上に書いてあるから。」

「ありがとうございます。」
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