ねえ、私を見て
「くららは帰らないの?」

「ん?うん、そろそろ帰るね。」

本当は、日奈人君がまだ側にいる時間に、帰りたくない。

会えば、日奈人君に吸い寄せられると、知っているから。

「あまり、意識しすぎじゃない?」

私は園子を見た。

「全身で相馬君を意識してるって感じ。彼も知ってるわよ。」

「そう。」

「それで?どうするの?このまま続けるの?相馬君との関係。」

私は髪を掻き上げた。

「もう、会わないようにすると思う。」

「なぜ?」

「不倫だし。彼にとっても、いい事はないわよ。」

「相馬君には、いい事あるんじゃない?」

「えっ?」

日奈人君に、いい事?

「好きな人と会えるしね。」

「好きな……人……」

私が日奈人君の好きな人。

ため息がでる。
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