ひと夏の思い出 と 一生の思い出【完】
「知ってる? 社長、結婚するらしいよ」
女子社員3人、クーラーの効いた会議室で出前の冷やし中華を食べていると、事務の妃実花さんが言った。
「嘘⁉︎ 誰と⁉︎」
イラストレーターの玲奈さんが、即座に食いつく。
「銀行の頭取の娘!
さっき、電話で申し訳ありませんがって社長の人となりを聞かれたの」
私は、ただ驚いて、無言で麺をすすることすらできない。
「そういうの、聞いたことある!
なんだっけ? 聞き合わせって言うんだよね?
うちの母が結婚する時、父の両親が、ご近所さんに根掘り葉掘り聞きに来たって、母が怒ってたもん!
今でもそんなことするんだ⁉︎」
頭取の娘さんなら、身元のしっかりした人じゃないとダメだからなのかな。
私なら、社長と結婚できるなら、それだけで十分なのに……
女子社員3人、クーラーの効いた会議室で出前の冷やし中華を食べていると、事務の妃実花さんが言った。
「嘘⁉︎ 誰と⁉︎」
イラストレーターの玲奈さんが、即座に食いつく。
「銀行の頭取の娘!
さっき、電話で申し訳ありませんがって社長の人となりを聞かれたの」
私は、ただ驚いて、無言で麺をすすることすらできない。
「そういうの、聞いたことある!
なんだっけ? 聞き合わせって言うんだよね?
うちの母が結婚する時、父の両親が、ご近所さんに根掘り葉掘り聞きに来たって、母が怒ってたもん!
今でもそんなことするんだ⁉︎」
頭取の娘さんなら、身元のしっかりした人じゃないとダメだからなのかな。
私なら、社長と結婚できるなら、それだけで十分なのに……