ひと夏の思い出 と 一生の思い出【完】
高校を卒業した私は、地元の大学へ進学した。

成績は決して悪くはなかったけれど、人見知りであがり症の私は、就職試験で全敗を喫していた。

そんな時、5年以上ぶりに突然先輩から連絡が来た。

実里(みのり)、就職決まった?」

開口一番そう聞かれて、私は、

「いえ」

としか答えられなかった。

「じゃあ、俺の会社へ来ないか?」

「えっ?」

先輩によると、大学生の頃、スマホゲームアプリを作り、起業したらしい。

今度、乙女ゲームに進出するため、シナリオライターを募集しようとしたけど、その前に私を思い出してくれたんだそうだ。

私なんかで役に立てるのかどうか分からないけれど、やってみたいと思った。

こうして、私は、初恋の先輩を社長と呼び替えて、日々働いている。


なのに……

社長、結婚するんだ……
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