ひと夏の思い出 と 一生の思い出【完】
私が初めてデートしたのは社長だ。
社長はデートだと思ってないかもしれないけど、私の中で高校生の男女が二人で水族館に行くのは、デートだと思う。

そして、初めて手を繋いだのも、社長だ。

だったら、社長が結婚する前に、私の最初で最後の経験を社長としたい。

それを思い出に、私の思いには蓋をするから。

社長も、そんなに重く考えてくれなくてもいい。

私にとっては一生の思い出でも、社長にとっては、ほんのひと夏の思い出だと思ってくれれば、それでいい。

翌朝には、綺麗に忘れて、いつも通りの関係に戻る。

そして、私は、そのまま社長の下で働き続ける。


私は、ゲームさながらに脚本を考える。

いつも未経験のまま妄想で書いてる脚本。

今回、初めて現実になる。

あとは演じる私が失敗しなければ、いいだけ。
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