双子の異世界・奇跡の花束
レシオンはミネルアの手を取って一番奥の棚に向かった。


何年も開かれていないのだろう。

ほこりとカビの匂いがする。


「ハハ、臭いなー」


「う、うん・・でも本当に良かったの?レシオン」


「当たり前だ。お前の望みなんだから」



ぽんぽん、と優しく頭を撫でられる。



_本当に優しい人だな・・この人は



きゅっと胸が締め付けられてしまう。



「ん、これ・・かな?」


レシオンは一冊の蒼い本を手に取る。


「賢者録と書いてある」


「あ・・」


「小さい頃、ここに忍び込んで賢者の事を探した事があるんだ」


「え?レシオンが?」


「ああ。世界の大戦争に起きた事なんかも書かれてる。とても興味があった。」



パラパラパラと本をめくると、中から可愛いしおりが挟んであった。


「はは、そこらへんに生えてた草を入れてる」


「フフ・・このページがお気に入りだったの?」


「もう10年以上誰も開いてないって事だな」




二人が笑いながら見たページには、この世界では夢物語の様な事が書いてあった。

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