双子の異世界・奇跡の花束
「身内・・と言ってたが、姫とも言ってたな」


「ええ。あなたが姫様の何処までを知っているのかわかりませんでしたから」


「そうか・・姫だったかあいつ。どおりで」



レシオンは遠い目をしながら微笑んだ。

パーティーでおしとやかに、尚且つ礼儀正しくしたミネルアのお辞儀を思い出した。

まるで王族の様な身のこなしを。


「俺には8年前の姿しか記憶にありませんし。どんな感じに育ってるのか不安で仕方ないですね」


「ハハ、もしかして世話係とか」


「その通りです」


レシオンは納得した。辻褄があった気がする。


_そうか・・8年前のあの時ミネルアが本当に探していたのはこの男だったんだな。



「素晴らしい女性だと思うよ」


「ええ、貴方の反応を見て確信しましたね」


「ハハハ」


「でも駄目です。姫様は帰ります」


「・・・わかってるよ」



ゼノはしっかりと釘を刺す。


そしてレシオンもそれを飲み込んだ。

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