双子の異世界・奇跡の花束
馬の所へ戻ると、そこにはクルーガの姿があった。


「あ・・」


他の山賊たちは倒れている。

どうやら火あぶりに遭った後だった。


「よう。」


ゲシッ

その言葉にヴォルスは蹴りを入れた。


「ほら、ちゃんとしろ」


「お、おう・・」


「クルーガ・・」


ヴォルスはミネルアを下ろす。

だが、ミネルアはすぐにヴォルスの後ろに下がった。


「ごめん!!!」


クルーガは森に響くほどの声で謝った。


「・・・」


「ミネルア・・すまなかった。俺・・・とんでもない事した・・お前をあんな目に」


「・・・」


あの時の場面を思い出す。

恐ろしくなり体が震えた。


「ごめん!殴っていい!刺してもいい!お前の気が済むまで!!」


「わかった」


と答えたのはヴォルスだ。

すらりと剣を抜いた。


「ちょっ・・お前じゃねえよ!」

「うるさい。代わりにやるだけだ」

「おおおいっ・・待てよヴォルス」

「待たん」


目がマジである。


「死んで詫びろ」


「ひいっ」


「止めて!」


ミネルアはヴォルスに抱き着いた。


「もう・・いいから・・喧嘩しないで」

「俺はこいつを許さない。8年前にお前を拾った時に誓った約束をやぶった」


「いいの!」


ミネルアはヴォルスが持っていた剣を地面にほうり投げた。



「二人は喧嘩しちゃ・・駄目・・」


ぶわあっ

と涙が溢れる。


懐かしい場所に帰ってきた気がした。


「私の大切な・・二人だから」


「ミネルア・・ごめん・・ごめんな」


クルーガも大粒の涙を流した。


「そうだ。俺達はお前の居場所だ」


ヴォルスはミネルアの頭を小さな頃みたいに撫でてくれた。




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