双子の異世界・奇跡の花束
「じゃあ俺は先に伝えてくるから」


そう言ってクルーガが馬に乗って駆けていった。


ミネルアが乗ってきた馬に、二人は跨る。



「ヴォルス・・馬は?」


「は?そんなもの必要ない」


「え?」


「オオカミ舐めんな」


「・・ふ・・ふふふ」


「何だよ」



きっと必死に走ってきてくれたんだと、ミネルアはそう思った。



ぎゅっ・・


ミネルアはヴォルスに何度も抱き着く。


「な、なんだよさっきから。子供みたいに」


「だって・・嬉しいんだもん・・凄く凄く」


「ふん」


照れくさそうに、ヴォルスは前を向く。


「それに・・勝手に出て行ったからずっと寂しかったし」


「・・悪かったな」


「ううん・・私の為だってわかったら・・嬉しかった」



ヴォルスの背中に、額をくっつける。



「ありがとう・・ヴォルス」


「・・ん」


とても嬉しかった。


いつの間にか、クルーガが言っていた言葉は消え去っていた。

ヴォルスはどこまでも真っすぐなんだと思えたから。



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