双子の異世界・奇跡の花束
ゼノはしっかりと確かめた。


「うん、エレノア様にも、クロノス様にも本当によく似てる」


「と、当然でしょ!私の両親なんだから!」


「そうですね」


ゼノはそう言ってほほ笑むと、旅団達全員とレシオンにお辞儀をした。


「皆さん、本当にありがとうございました。姫様が生きていたなんて本当に感謝しかありません」


「ああ。」


「伝えた通り、我々はもとの世界へ帰らなくてはならない」



ドキン


ヴォルスやレシオンの心臓が跳ねる。

レシオンはすぐに切り返した。



「帰る方法はあるのか?本にはまれにしか起きない現象の様に書かれていたが」


「ええ。だから賢者様に会いに行きます。確かに帰る方法は今の所ない。
保証も何もない。でも、話を聞きにいかねば何も始まりません」


「そ、それはそうだな・・」


レシオン達は頷く。


「俺も行く」


「ヴォルス・・」


「俺もだ!」


団長も口を開く。


「ゼノさんよ。俺は、いや俺達旅団はミネルアに沢山の幸せをもらってきたんだ。
俺なんか本当の娘みたいな存在で・・・ここで別れたら気になって気になって仕事にならねえんだよ」


「おとうさん・・」


「しっかりと見届けたいんだよ」



と、最後に言った後団長は口を手で覆った。


別れが来るなんて思ってもみなかった。


ずっと一緒にいられるとそう思っていたのだ。




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