双子の異世界・奇跡の花束
少しの沈黙の後、ヴォルスは小さな声で言った。


「色々・・考えた・・」


「え?」


_レシオンの事?それとも私の事?



「俺はずっとお前の望みを叶えてやりたいって思ってた。
あの日の泣いていたお前が頭から離れなくて・・ずっと帰してやりたいって思ってた」


「・・うん」


ミネルアは静かに聞き入った。


「でもいざとなったら怖くて・・どうしようもなかった」


「ヴォルス?」


少し声が震えている様だ。


「ずっと帰してやる事が俺の生きがいだったけど・・そんなのは嘘だ」


「・・・」


「レシオンも同じ事言ってた。お前の幸せがあっちの世界に帰る事なら俺もそれが幸せだって・・・
でも違うんだ!俺も・・きっとあいつも・・
お前がいなくなるなんて本当は考えられないんだ」


「ヴォルス・・」


ヴォルスは顔を伏せたままミネルアの手を握った。


「ごめんな」


「・・っ・・」


ミネルアは強く手を握り返した。


帰りたいのは確かだ。

でもこの8年間自分を見守ってくれてたのはヴォルスや旅団の皆だ。

いざ帰れるとなったら、本当に帰れるのだろうか?

ミネルアはヴォルスにそう言われるまで考えた事がなかった。

自分の事ばかり考えていたのではないかと。


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