双子の異世界・奇跡の花束
街に着くと、朝市が開催されていた。


新鮮な野菜や魚などが立ち並んでいる。


「混んでるな。離れるなよ」


「うん」



人の波が押し寄せている。

それほど活気に満ち溢れていた。


「ミネルア、何か食べたいものとかあるか?」


「・・ないよ」


「甘いものとか好きか?」


「ううん・・」


そんなわけないだろうと思ったが、7歳なりに遠慮をしているのだろうとヴォルスは悟った。


「わかった、買い物してすぐに帰ろう」


「うん」


ぎゅっと手を握り、ミネルアはヴォルスの後ろについて歩いた。


_お母様でもお父様でもゼノでもない、知らない男の子の手だ。


その背中はまだ少年だがミネルアにとって頼もしく思えた。

何故かわからないが説得力があった。

だから安心して手を繋いだ。
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