双子の異世界・奇跡の花束
「ルシオネス様、雑魚処理はお任せください」


そう言って楽しそうにザンが旅団達目がけて歩いて行く。



「お前ら、ミネルアは絶対に守る!何がなんでも死ぬんじゃねえぞおお」


「おおお!!」


団長の声に、団員たちは声を荒らげた。


「おとうさん・・やだっ!やだよ!」


「大丈夫だ。おとうさんこう見えて強いんだぞ」


「や・・やだよ」



_お願いだよ・・止めて・・こんなの・・




胸が張り裂けそうな程痛い。

息が出来ない程苦しい。

悪寒が止まらない。全身が鳥肌を立て、震える。

そんなミネルアの肩を二人は叩く。



「大丈夫だ。信じろ」


「ヴォルス・・」


「今度は俺があいつを殺す!借りは返す!!」


「クルーガ」



皆、それぞれ手に力を込め、マナの力を発揮する。


「ゼノ!止めて・・ゼノ!」


「姫様、これです」


「え?」


「この不幸を乗り越えた時・・・時空の歪みが発生する」


「!!!」



_それって、それって皆を犠牲にしてしまうって事でしょ!?こんなの嫌だ!望んでない!!



声も出せない程、恐ろしかった。

この世界で自分を大切にしてくれた皆を糧にして自分はもとの世界へ帰らないといけないのか。


「こんな事になるくらいなら、戻れなくていい!私はこの世界で生きていくから・・だからお願い・・止めて・・・」



_賢者様・・神様・・お願いだから・・・!!!
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