双子の異世界・奇跡の花束
「止めてルシオネス兄様!もう決着はつきました!!」


そう言ってルシオネスの前に立ちはだかったのはニアだ。


「何?ニアも死にたい?」


「やめろニア、こいつは正気じゃない!」


「お願いよ、もとの兄様に戻って・・」


「ふふ・・二人ともくし刺しにしてあげるよ。」



と、ルシオネスの手に力がこめられる。



_兄様・・!!!



ニアが目を瞑った瞬間だ。


風を切る音が後ろから聞こえ、光の矢がルシオネスに向かって飛んできた。



「おや、死にぞこないかな?」



ひらりと交わした先に、シャックスが立っていた。


「シャックス!!」


「レシオン様!ニア様!大丈夫ですか」


「ああ」


とシャックスが二人に近づいたが、目の前でシャックスは倒れ込んだ。


「お前・・その傷」


「・・なんてこと・・ありません・・」



背中には抉れた傷が無数についていた。



「・・・シャックス」


「フフ、信じてますよ。我が・・主」



そう言ってシャックスは目を閉じる。



「死ぬな!これは命令だ!ニア」


「は、はい!!」



ニアはシャックスを引きずりながら離れた。



「フフ、いいね。仲良しで」


「絶対に・・・許さん」



ワナワナとレシオンは手を震わせる。



「いいもん。許されなくて」


あっけらかんとしてルシオネスは答えた。
< 269 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop