双子の異世界・奇跡の花束

二人が駆け付けると、信じられない光景が広がっていた。


「これは・・・」


「マナの・・・光だ」



その場にいたゼノも、驚いて固まっていた。

何故ならば、マナを解放していたのは

ミネルアだったからだ。


ヴォルスとレシオンもその光景を見て唖然と立ち尽くした。



「ミネルアがマナを・・」


「ミネルアは亜人じゃなかったのか！？」


「姫様・・」



ミネルアは涙を流し、団長を抱きかかえていた。



「お願い・・おとうさん・・・死なないで・・」



ミネルアが団長を強く抱きしめると、金色の光に包まれた。

まるで花びらの一枚一枚がミネルアと団長を包むように。

蕾の様に膨らんだ。


「凄い・・・力だ」



その場にいた全員が、初めて見るミネルアの光に圧倒された。

誰もが初めて見る膨大な力だ。



「ゼノ、どういう事だ」


「・・・姫様は・・受け継いでいたんだ」



呆然と立ち尽くしている。



「エレノア様から・・俺の母上の力を」



ゼノの頬をいつの間にか涙が伝っていた。

ミネルアは母エレノアから力を受け継いでいた。

その力はかつてこの世界で起きたマナの大戦争で異世界へと飛ばされたゼノの母親の力だった。

人を癒す事の出来る強力な治癒の力だった。

蕾が花開くと

しばらく眩い光が辺りを照らし、ゆっくりと花びらが散る様に空へと消えていった。


「ん・・・うう」


団長が目を覚ますと、目の前に泣いているミネルアの姿があった。


「！」


ミネルアも何が起きたのかわからず団長を見た。



「ミィ・・」


「おとうさん！！・・うそ・・なんで・・・うぅ・・良かっ・・」


「ミィ・・お前が？・・そうか・・ありがとう・・ありがとうな」


「うあああんっ！おとうさあああん」


まるで小さな子供の様に、ミネルアは泣きじゃくった。


まさか自分に力があるなんて信じられるわけがない。


人の傷を癒すことの出来る、まれに見ない特殊な力を持っているなんて思いもよらない。


奇跡の様な出来事だったのだから。