双子の異世界・奇跡の花束
この異様な雰囲気に、皆は不思議そうな顔で二人を覗き込んだ。


そしていつのまにか、静かに二人の頬に涙が伝っていた。


「お、俺は・・・ファンデール国の・・・ヴォルスと・・申します」


「っ・・・はい・・・」


「こっちにいるのは、側近のクルーガ・・・」


「はい・・・」



頷くことしか出来る訳ない。

涙を拭う時間が惜しいと感じるほど、ミネルアは彼をジッと見つめた。


「・・なんでこんなに・・涙・・出てくるんだろう。すみません突然」


ミネルアの両親にそう告げ、ヴォルスはとめどなく溢れる涙を袖で拭う。


「っ・・ぅ・・ゼノ・・?」


ミネルアは体を震わせゼノを見た。

するとゼノはコクリと頷く。


「姫様・・俺も・・たった今思い出しましたよ」


「ゼノ・・・ゼノ・・嘘・・こんな事って」


「規格外・・いや、想定外ですね。ハハハ。ホント、人生何が起こるかわからないな」


とゼノは泣きながら笑った。

ヴォルスの隣にいたクルーガも笑いながら泣いている。


「なんだこれ・・ヤバいなヴォルス。信じらんねぇ・・どうなってんだよ」


ミネルアの姿を見るまでは全てを忘れていたのだ。


「ああ・・わからないけど・・奇跡か何か」


「ねぇどうしたらいいの?私・・信じられなくて・・呼吸困難になりそう」


「・・俺もだ。ミネルア」


何度も何度も思い出す。


出会い。


旅団での生活。


楽しかったあの日々を。


そして最後の別れの時も。




そして今__。



「ヴォルス・・・ヴォルス!!!」


「ミネルア!!」


ミネルアはヴォルスに駆け寄って、思い切り抱き着いた。

そしてヴォルスもミネルアを受け止める。

両親はその行動に驚いていたが、全てを思い出した二人は眩しい笑顔で見つめ合った。



「言ったろ?大丈夫だからって」


「うん!うん!・・ヴォルス・・逢いたかった・・また逢えて良かった」


「ああ」


「これからはずっと一緒にいて!ずっとずっと死ぬまで一緒に居たい!!」


「ああ。これからずっと一緒だ」


「うん!沢山沢山・・・ありがとう!!」







ヴォルスはそっとミネルアの左手の薬指にキスをした。

その薬指には

ビーズで作られたおもちゃの指輪が光っていた。













END
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