双子の異世界・奇跡の花束
「ハハ・・覚えてないか。もう8年も前だ」


ミネルアは必死に7歳の時のことを思い出そうとした。


「え・・と・・?」


「あの時君は幼くて迷子になってたけど。今日は迷子じゃないよな?」


太陽みたいに笑いながら男は言った。

そして迷子になった日を思い出す。

やんちゃないたずらそうな笑顔を。



「あ!あの時の!?」


「そう、あの時の迷子だ」

「嘘・・」


信じられず目をまんまるにしてミネルアは驚いた。

こんな場所で逢えるなんて思いもよらない。


「俺はずっと忘れなかった。こんな綺麗な銀髪なんてなかなかいないし」


「レ・・レ・・」


ニコリとほほ笑む、男性。

ミネルアは必死に名前を思い出そうとした。


「レイシス・・だっけ」


がくっ

と肩を落とした。


「レシオンだ」


「あ、ごめんなさい。・・って、レシオンてこの国の皇子の名前と同じじゃ」


「あ?ああ、皇子だけど」


「え!?」


_皇子が一人でなんでこんなところに!?あり得ない!


まさかのカミングアウトに後ずさる。


「皇子なのになんでこんな場所に!?」

「お忍び☆」

「あ、あぁ・・そうなんですか」



カラカラと笑うレシオンだが、ミネルアは驚きっぱなしだ。

皇子なら護衛がいるハズだ。自分も小さな頃は絶対にゼノがいた。

1人で城を抜け出して来たらしい。


「平和なんですね、この国」

「まあ豊かな方だな。それに皆マナを使えるし、いざという時はなんとかなるだろ?」

「あ、そう・・でしたね」


今更だが自分の世界と同じではないと改めて認識した。


「ありがとう」


笑いながらレシオンは手を伸ばす。

ミネルアはその手を取り、噴水から助け出した。

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