双子の異世界・奇跡の花束
ミネルアにとってお城のパーティーは全て懐かしいものに感じられた。

色とりどりの装飾、玉座まで続くレッドカーペット、沢山のごちそう、招かれた者たちの楽しそうな会話。


「わ・・レシオン様が連れてる方どなた?」

「凄く綺麗・・」

「羨ましい」


招かれた若い女性たちはこぞってミネルアに視線を向ける。



_うん、視線が痛いわ。でも我慢・・書物庫にいければなんでも我慢我慢!


口角を上げ、緩やかな笑顔を保ちつつ目線を下に下げながら歩く。


「ミネルア、大丈夫か?」


「うん」


誰とも目が合わない様に逸らしていた。

なんと言っても隣にいるのはこの大帝国の皇子だ。

もしかしたら次の皇帝になるかもしれない人物だ。

そんな人にエスコートをされているのだ。

全員の視線が自分に来ている様にさえ思えた。


「お兄様」


「ニアか」


レシオンの傍に近づいてきたのはレシオンの妹ニアだった。

ミネルアと同い年くらいの王女だ。


「珍しいですね、お兄様が女性をエスコートしてる・・というか初めて?」


「え?」


初めてという言葉にミネルアは顔を上げた。

レシオンは少し恥ずかし気だ。


「ニア、そういう事は思ってても言うな。バレたら恥ずかしいだろう」


「あ、ごめんなさい!あはは」


「全く・・ハハハ」


穏やかな会話にホッと安心した。


「仲の良い兄妹なんですね」

「まあ、一応な」

「フフ・・」


ミネルアの笑顔は逐一可愛い。控えめに笑う所も上品で良い。

レシオンは気持ちを抑えるのに懸命だった。

知らず知らずに手を取る指に力が入ってしまう。

正に理想の女性像だった。
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