双子の異世界・奇跡の花束
酒は飲めないのでブドウジュースで乾杯をし、ビュッフェを少しだけいただいた。

正直、緊張で食べ物など通るわけもない。


「もういいのか?」

「・・緊張しちゃって」

「すまないな。無理矢理」

「いいえ・・貴重な体験です」

「こんな事言っては申し訳ないんだが・・」


ドキン


_何だろう?


レシオンは照れながら言った。


「ミネルアのドレス姿が見たかったんだ」


「え・・」


「俺が見たかっただけ。想像以上だったけどな。ありがとう」


申し訳なさそうにレシオンは笑った。

そしてジッと翡翠の瞳を見つめる。


「何年経っても、思い出すんだ。お前が迷子で泣いていた事を」

「8年も前の事なのに?」

「ハハ・・不思議だろ?でもそれほど印象的だったんだ。度々夢にまで出て来てな」

「そんな・・」


ドキン


穏やかな笑顔は真剣な眼差しに変わった。


「それが今日まさか出会えるなんて・・見つけた時に運命だと勝手に感じてしまったんだ。こんな事、奇跡じゃなければなんだろうって。8年も前に他国で出会ったのに」

「それは・・確かにそうですけど・・」



8年間も自分を思い出していたと?

流石に少し疑ってしまう。例え偶然だとしても。

ヴォルスが言った言葉が脳裏によぎってしまった。




『お前を手に入れたいだけだよ。お前を自分のモノにしたいだけだあいつは』

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