双子の異世界・奇跡の花束
レシオンに聞いてみたかった。


「変な話をしてもいいですか?」

「うん?」

「もしあなたの愛する人がここではない異世界に目の前で飛ばされそうになったら・・どうしますか?諦めますか?」


「ハハ、確かに変な話だな。飛ばされる?もう逢えなくなるって事か?・・うーん」




微笑しながらもちゃんと考えてくれている様だ。

真面目に腕を組んでいる。

そしてすぐに結論が出た。


「うん、一緒に行くかな」


「ぇ・・・?」



レシオンはミネルアの目線を外して言った。

照れくさそうに頬をかいている。



「帝国がどうでもいいって事ではないが、俺がいなくてもこんな大国なんとかなる」


「フフ・・皇子様の発言とは思えませんよソレ」


「ハハ、でも大丈夫。誰かがなんとかしてくれる。
だから、願いが叶うなら愛する人と何処へでも行ってみたいな。むしろ旅とかしてみたい!皇子じゃなにかと不便だろ?」

「フフ・・不便てそんな」




恐らく自分の生涯はこの国で終える。それは皇子としての役目だ。羽ばたく事など出来るハズもない。

それを見越してレシオンは遠くを見つめた。

楽しく旅をすることを宙に思い描いた。


「楽しそうじゃないか。2人で旅するなんて。・・ってどうしたんだ?」


そんなレシオンをミネルアはジッと見透かそうと見つめた。



_ああ、この人の言ってることは本当に嘘なのかな?全部言ってる事は嘘なのかな?

だって、こんなに楽しそうに笑ってくれる人なのに。

嘘だったら悲しいな・・・こんなに素敵な人に見えるのに。




切ない思いがこみ上げる。

レシオンを見つめる度、ヴォルスの言った言葉が脳裏に浮かび上がってくる。




「あ・・」


そしてポロリとあの言葉が口から零れてしまった。

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