双子の異世界・奇跡の花束
何が起きたかはわからない。


だが、ミネルアは目を開けた瞬間に少年の腕に抱き留められていた。


「ふぇ・・・?」


「大丈夫か」


「え・・?」


いつの間にか目の前で大男が倒れていた。



_何がどうなったの?あの人が白目むいてる・・・



驚いて涙も止まっていた。


「お前、名前は?」


抱えながら少年が言った。


「ミネルア」


「ミネルア・・か。どうしてこんな事になったかわかるか?」


「わからない・・だって、地震が起きて・・それからわからない」


「地震?確かに今日地震があったが・・なんの関係がある?」


少年は恐怖で震えだしたミネルアを不思議そうに見つめる。

しかしミネルアは自分の事で精一杯で目が色んな所に泳いでいる。


_わからない。一体何が起きているの?



「わからない!ここ何処!?ゼノは何処!?お母様は?」



取り乱し叫ぶミネルアの背中を、少年は優しく撫でた。



「落ち着け、家に帰してやるよ」


「本当?」


「ああ」


「帰りたい!帰りたいの!!」


「わかったって」


とにかく落ち着かせようとミネルアの背中をさすっていると、後ろから一人の気配を感じる。

金髪の少年が歩いてきた。



「急にいなくなったと思ったら、何やってたんだ?」


「クルーガ。この子をこいつから助けた」


「人攫いか」


「ああ」


「ゴミが!」


クルーガという少年は大男の体を足で蹴った。


「誘拐して売る気だったんだろうな。山賊か?」


「ああ」


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