双子の異世界・奇跡の花束
ワザと顔を隠したままヴォルスは話す。

ミネルアを見ることが出来なかった。


「酷い事を言った」


「あ、ああ・・大丈夫だよ」


「沢山言った」


「気にしてないから」


ヴォルスは「はぁ・・」と一度深いため息をついた。


「俺は汚い・・酷いやつだ」


「ど、どうしたの急に・・あ、私こそごめんね。大嫌いって言ったのあれは嘘だよ。
売り言葉に買い言葉というかムキになってて・・」
















「好きだ」


「うん・・・・・・・?」



言葉に理解できず、ミネルアは首を傾げた。


腕の隙間からヴォルスの目が見える。



「お前の事が好きで、どこにもやりたくなくて。クルーガの言う通り悪い虫は俺。」


「・・・・・」


「成長してない」


「え?え?」


こんなに良く喋るヴォルスはとても珍しい。動揺するばかりで話についていけてない。

ヴォルスは起き上がると、ふいをついてミネルアの唇を奪った。


「・・・っ・・」



「お前を大切に思ってきた。もとの世界へ帰してやりたかったのはホントだ。
でも・・帰したくない気持ちもあるのもホントなんだ」


「ヴォルス・・」


「・・・こんなの迷惑だな。すまない」



そう言って立ち上がり、テントから先に出て行った。


ミネルアは固まったまま動けない。

腰が抜けてしまった様な感覚だ。



_ヴォルスが私を・・・?


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