双子の異世界・金色のはなびら
「で、お前の特技とやらはなんだ?仕方ないから聞いてやる」

「あう・・・そ、それは・・・」


_特にないとか言えない!!泣きたい!


「まあ、動物に好かれるというのはありそうだが・・・」

そう言われて気が付いたのはエレノアだった。

「あ、それはそうかもしれません!以前、街を散歩してたら知らない猫ちゃんや犬が
いつの間にかついてきたりして、街の人たちに笑われました」

「まあ、変な特技だが」

「あ、アハ・・・そうですね」

「フ・・悪くない」

「え」


一瞬だが、フワっと見せた笑顔にエレノアは胸を締め付けられた。


「クロノス様が・・・」

「?」

「笑った」

「悪いか」

「いいえ、とても・・・その」


_意外すぎて・・・嬉しい・・・


「なんでもありません」

「なんだ」

「なんでも・・ふふ」



猫と戯れる姿は、誰も予想もつかないほど穏やかで優しい顔をしている。

いくつもの国を束ねる皇帝とは思えないほどの顔をしていた。
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