悪役令嬢はお断りします!~二度目の人生なので、好きにさせてもらいます~
「まさか、絵を口実にシルフィ様を屋敷に誘うなんて! 私もシルフィ様とご一緒に参りますわ。男はオオカミと言いまから、危険ですわ」
「絵を口実になんてしていない。そんなことをしなくても、シルフィを誘える。それから、言わせてもらうが、すでにシルフィはうちに何回か遊びにきている」
「自慢ですか」
やっぱり始まった。
マイカは勢いよくパンをちぎりながら、目を細めてアイザックを睨んでいるが、彼は気にするそぶりをまったく見せず、淡々と朝食を取っている。
く、空気を変えなければ……。
「ねぇ、みんな。朝食が終わったらバラの迷路に行かない? 別荘の庭にあるの」
「いいな、それ。シルフィ、毎年楽しみにしているもんな」
「シルフィ様が毎年楽しみにしているものですか? 私もぜひ。あっ、どうせならば競争しませんか。ふたりずつに分かれて」
マイカが手を上げて元気に提案しつつ、意味深な雰囲気をまといながらちらりと私の方を見たので視線が合った。