悪役令嬢はお断りします!~二度目の人生なので、好きにさせてもらいます~
 
「マイカって、アイザックのことが好きなのかしら?」
「それはない。絶対にない。ありえない。俺に関していえば神に誓ってない。断固として、否定する」
「なんでそんなに否定を……」
不満げなアイザックに、思わず吹き出してしまう。

「顔見知りだけれど、親しくはないからな。お互いミニム王国に留学するのも知らなかったくらいだ」
「えっ、マイカと以前から知り合いだったの?」
「うちに出入りしている」
 そうか。アイザックは西大陸のマルフィ出身。

 マイカの家、オルニス商会は西大陸を中心に商いをしているため、取引があっても不思議ではない。

「ねぇ、アイザック。知っていたら教えてほしいんだけれど、マイカって好きな人いるのかな?」
「どうだろう。でも、わざわざ自分でオルニス商会の支店を設立し、留学するくらいだ。仕事が一番なんじゃないか?」
 オルニス商会の支店をつくり、ミニム王国に留学したのはゲームと一緒だ。ということは、もしかしたらこれから彼女は好きな人ができるのかもしれない。

 攻略対象者にはありあまる資金を利用して攻略をするから、ウォルガールートならばウォルガーを攻略するためにお金を使うはず。
 誰のルートに向かうかを知るには、お金の動きが参考になりそう。

 平和な学園生活を守るためにも、これからもマイカとの距離を保ちつつ、彼女の動きを注視しないと――そう心に誓う私だった。







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