悪役令嬢はお断りします!~二度目の人生なので、好きにさせてもらいます~

「これって……!」
 私が思わず感情的に叫んで立ち上がる。勢いで手から滑り落ちたリストが床に散らばった。
 リストの三分の一が受注停止状態……。
 つまり、生産量が今までの三分の二に減少したということだ。たしかにこれは領地の危機的状況だ。

「なぜ急に?」
「グラジ商会というところが、わが国と同等の高品質のリネン生地をタダ同然で卸しているようだ。調査の結果、裏でラバーチェ家が手を引いていることが判明した」
「ラバーチェ家!? エクレール様の?」
 お兄様の説明を聞き、私は頭痛がした。
 いくらグロース家が憎いとはいえ、リネン事業にまで手を出すとは……。

「ラバーチェ家に抗議をしたいが、今はリネン事業の立て直しが最優先だ。早急に策を練らなければ」
 お父様が沈痛な表情を浮かべ頭をかかえたので、私は胸が痛くなった。私に何かできることはないだろうか。

 ──前から思っていたけれど、そもそもリネンを寝具だけに使っているのはもったいない。リネンは通気性に優れ、さわり心地もよい。

 蒸れを防ぐから夏でも快適で、日本では夏にリネンのワンピースをよく着ていたものだ。

「……ん? ワンピース?」




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