その手をぎゅっと掴めたら。
生徒会長がふうっと、深く息を吸う音がした。
そうだ、私も深呼吸の途中だった…。
息をゆっくりと吐き出した後、彼女は瞼を閉じた。
「北斗は学校以外の場所に行きたがらないし、家族以外の人との関わりを避けてきたから。あなたの存在に、感謝しかないの」
「はい…?」
「あれ、私、おかしなこと言ったかしら?」
口に手を当てて考える仕草が可愛い。
「あ、いえ。その、葉山くんと別れて的な…展開かと」
首を振った私に、手をひらひら左右に振り返した生徒会長と目が合う。
「そりゃぁ北斗のことは好きだし、一時はお嫁さんになれたらいいなぁとか思ったりもしたけど」
ですよね。
胸が少しだけ騒つく。
「けどね、私では北斗の支えになれない。北斗が選んだのはあなたよ」
「…私はたぶん、選ばれたわけではないです。タイミングが良かったといいますか、ちょっとしたきっかけで私が告白して、運良く…」
「違うわ」
教室に来てから初めて生徒会長が強い口調でぴしゃりと言った。