その手をぎゅっと掴めたら。

「どうかした?」

それからすぐに現れた葉山くんはぼうっと突っ立っていた私の肩を軽く叩いた。


「まぁ英語が1限とあれば、落ち着いてられないよね」


少しの間、英語の小テストのことを忘れていたなんて言えずに曖昧に笑う。

そうだ…今はテストのことを考えないと…。


「君が負けたら、俺も痛いんだけどね」

「……勝手にごめんなさい」

「今日の昼飯は奢りな」

「いいけど、まだ負けるとは決まってないからね!」


この出逢いが運命かどうかは分からないけれど、こうして葉山くんの近くに居られることは奇跡に違いない。

一緒に居られるひと時を大切にしないとね。


< 106 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop