その手をぎゅっと掴めたら。
長く感じたホームルームが終わり、あっという間に私の手元に採点済みの答案用紙が返ってきた。
恐る恐る点数を確認すると、93点。
今までで一番良い点数だ。
ふっと、笑いを堪えるような声が背後から聞こえてきた。凛ちゃんは高得点だったのだろう。もしかしたら満点…?
凛ちゃんと早紀ちゃんの方を見ると2人は顔を見合わせて笑っていた。
あ…これは無理かも。
英語の授業が終わることが急に怖くなる。
葉山くんと別れたくないと伝えたところで、賭けに敗れた私の意見など通らないかもしれない。
今更、異議を唱えることはルール違反で、ズルくてカッコ悪いだろう。
それでも私は抗いたい。
葉山くんの傍に居るために。
授業終了のチャイムが鳴り響き、直ぐ様、私の前に立った凛ちゃんの目は冷たくて怯みそうになる。
「どうだった?」
目の前でひらひらと見せびらかされた彼女の答案用紙は花丸がついた満点だった。