その手をぎゅっと掴めたら。

顔を上げた私を庇うように前に立った葉山くんは紙を掲げた。


「俺も、満点だったけど。これ、どうやって勝敗つけるの?どうしたって3対2じゃぁ、公平な勝負はできないよね」


「……」


「次からはもっと公平な賭けにしてくれないかな?友人関係のことに口出したくないけど、自分の彼女が不平等な扱いを受けてたら気になるよ」


葉山くん…。



「葉山くん、どうしてこんな奴がいいの?」


凛ちゃんは葉山くんを見上げる。


「葉山くんにはもっと似合う女の子が…」


「俺は、佐野がいいんだ」


柔らかい声色に胸が締め付けられる。

私たち2人のことなのに自分ひとりで決めてしまったことを責めずに、味方でいてくれる。


私は、やっぱり葉山くんが大好きだ。

こんなにも短期間で異性に心奪われてしまった。そんな恋はニセモノだと笑われてしまいそうだけど、ーーただただ、好きなんだ。

< 109 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop