その手をぎゅっと掴めたら。
それから私には少なめの朝食を完食して昨日、亜夜が持ってきてくれたTシャツにカーディガンを羽織り、七分丈のパンツに着替える。
看護師さんに断りを入れてから、表に出た。
病院の正面玄関を出た先のベンチにゆっくり腰掛ける。
昨日は窓から散歩をする患者さんを見かけたが、今日はあいにくの天気で誰も外に出ていなかった。
屋根があり辛うじて雨を凌げるその場所で、何時になるかも分からない葉山くんを待つ。
葉山くんのことだから、11時ちょうどに来てくれるような気がするんだよね。
でも言い方は悪いけど、学校をズル休みして来てくれるのだから顔を見たらすぐに帰ってもらおう。
午後の授業には間に合うしね。
ただほんの少しだけ、会って話がしたかった。
たぶん、不安なのだと思う。
昨日、手を振り払われた瞬間からーーずっと不安なのだ。