その手をぎゅっと掴めたら。

翌朝、張り切って登校すると、滅多に話さないクラスメートから声をかけられた。


「大丈夫?階段から落ちたんだって?」

「もう元気になったのか?」


机の周りに人だかりができ、私を気遣う言葉で
溢れていた。


「うん!もう大丈夫。ありがとう」


葉山くんは自席から私を見守ってくれている。

今まで一度も話したことのないクラスメートも砕けた口調で話しかけてくれて、ドキドキしながらも普通に会話ができたことが嬉しかった。


「昨日、校外学習についての説明があったよ」


そう唐突に話題を変えた雪ちゃんは、配布された資料を見せてくれた。


我が校は体育祭と文化祭、日帰りの校外学習をそれぞれ3年に1回行う。
1年生の時は体育祭が開催され、今年は12月下旬に校外学習が実施されるようだ。


「ほぼ自由行動だし、一緒に回ろう」

「うん!」


日本一とは言えないが、学校から一番近いテーマパークで一日中、遊べるという学校行事の中では一番嬉しいイベントだ。


葉山くんを伺うと、彼もクラスメートから栞を渡されているところだった。

学校に来てくれて良かった…。葉山くんとも思い出を作れたらいいな。


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