その手をぎゅっと掴めたら。

嬉しい、ありがとう、私も好き。
色々な言葉が脳内を駆けめぐり、上手く言葉にできないでいると、憎くも予鈴のチャイムが鳴り響いた。


「ごめん。手が止まっちゃったね。さ、食べて食べて」


まだ1枚サンドイッチが残っているがそれどころではなくて、首を振る。


「佐野の気持ちは十分に伝わってるから。無理に言葉にしなくて良いよ。これからもずっと隣りにいるんだから、焦らずゆっくり行けばいい」


「葉山くん…」


違ったね。
葉山くんは変わったわけじゃない。


嘘の告白だと分かっていて、私を受け入れた日から、その優しさは変わっていないし、いつも私のことを気にかけてくれていた。最初から、私のことを大切にしてくれていた。



「私の…初恋が、葉山くんで良かった」


驚いたように葉山くんがこちらを振り返ったので照れ隠しにサンドイッチを頬張った。


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