その手をぎゅっと掴めたら。

オリジナルコーヒーを淹れ終え、向かい合って腰を下ろす。


「もうじき12月ですね。もう1ヶ月もないですね…」


「そうだね。まぁずっと向こうに居ようとは考えてないから、また戻ってきたらコーヒーを飲ませてね」


「もちろんです。あ、最後にお別れパーティーでもしましょうよ。葉山くんと亜夜も呼んで」


最後はみんなで騒いで、寂しくない別れにしたい。


「そこまでしてくれるの?」


「青山さんは"さの喫茶"の大切な常連さんですからね。それに私の良き相談相手でもあります。悩む私の背中をいつも押してくれて、感謝しかないです」


「まぁ少しばかり真奈ちゃんより長く生きているからね、アドバイスできることもあるよ。それで?今は何かに悩んでない?」


そうやって私が言いやすい雰囲気を提供してくれるものだから、簡単に口が動いてしまう。


「友達の、凛ちゃんのことで…」


図書室でいくつもの本を破り捨てた凛ちゃんの話をした。

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