その手をぎゅっと掴めたら。
1週間、毎日欠かさず凛ちゃんにメールをしているけれど返事はなく、学校にも来ていなかった。
早紀ちゃんは少し前に連絡をとったようで、雪ちゃんは好きにさせれば?と少し冷たい。
「学校来なよ、って誘ってみたけど、そこは頑なに拒否だったよ」
「どんな顔して来れば良いのか、分からないだけじゃない?」
「雪ちゃんからもメールしてあげなよ」
「いやだってさぁ。図書室で暴れるとか、さすがに無理」
2人の会話からは温度差が感じられる。
教室で自由奔放に過ごしていた凛ちゃんに対して、クラスメートも雪ちゃんと同じような反応を示していた。
「自業自得でしょ」
髪を梳かしながら、雪ちゃんは淡々と言う。
「早紀ちゃんは幼稚園からの付き合いだし、真奈は高校に入って初めての友達でしょう?特別な思い入れがあるかもしれないけど、私とか他の奴らはそうでもないよ」
雪ちゃんの言う通りだ。
私は凛ちゃんに恩を感じているから彼女を擁護しているけれど、よく思っていない生徒の方が多いのだ。