その手をぎゅっと掴めたら。

「こんな弱い俺で、ごめんね」

そう言ったきり、葉山くんは口を閉ざした。


「っ、……」


私は泣き続けた。
止めようと思っても、涙が溢れる。


やっと開いた方から言葉を紡ぐことはできず、嗚咽だけが漏れる。


葉山くんの苦しみを一緒に背負うと決めたけれど、苦しい。哀しい、哀しいよ。


人生を謳歌した祖父が亡くなった時、苦しかった。胸が焼けるような痛みに支配され、何日も泣いた。


人が亡くなるって、そういうことだ。



葉山くんは親友を亡くした痛みに、今も、震えている。

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