その手をぎゅっと掴めたら。
よろけながら椅子に座った葉山くんは頷いた。
「ずっと、傍にいてください」
同じトートバッグを持っていて、嘘告白をした。
その2つが重なるなんて、結構な確率だと思う。
つまり葉山くんの言うように、運命的な出逢いなのかもしれない。
「もちろん、傍にいるよ」
「ありがとう」
「無理してブラックコーヒーを止めることはないと思うよ。でも良いんじゃないかな。たまには甘いコーヒーを飲んでも」
「そう、だよな…」
「うん」
「…実は、親友が君のおじいさまと一緒に撮った写真を持っているんだけど、見る?」
「え、見たい!」
お財布から大切に取り出された1枚の写真。
初めて葉山くんの親友に会えるのだ。
裏面になったその写真が、
表面にひっくり返された時、
頭を殴られたかのような衝撃が、走った。