その手をぎゅっと掴めたら。
さの喫茶の店内を背景に撮られたその写真は、
変わらない祖父の姿と、満面の笑みをした青年が写っていた。
待って。何故、何故ーーどうして。
だって、彼は、ーー。
「葉山くん、この人、」
「うん?」
次の瞬間、『言わないで』と小さな囁きが耳に届いた。
思わず後ろを振り返る。
後ろにはメリーゴーランドと、それに乗る人々の笑顔があった。
「佐野?どうかした?」
「……」
「佐野?」
「…ううん、なんでもないよ」
ーーその声は、確かに私に届いた。